一口に「確定申告が必要」と言っても、色々な方があります。
その確定申告は自分で簡単に出来るのか、難しいものなのか。間違った申告をしてしまった場合、ペナルティーはあるのか。心配は尽きません。
ですが、日頃縁のない税理士事務所も、敷居の高いものです。
いざ「確定申告が必要」ということになっても、税理士に頼むレベルなのかどうか、見当がつかない事はないですか?
税理士に頼んだ方がいいのか、自力でできるのか。
税理士としての独断と偏見で、そこを解説してみたいと思います。
頑張れば出来ると思われる申告
① 給与のみの所得の方(サラリーマンやパート、アルバイト)、年金収入のみの方の医療費控除など
② サラリーマンの方の住宅ローン控除(確定申告は初年のみ)
③ 二ヶ所以上の会社から給与をもらっている方
④ 年の中途で退職し、年末調整を受けていない方
用意するもの:源泉徴収票
(①の方)医療費の領収書
(②の方)住宅を取得した時の売買契約書や請負契約書、補助金を利用した場合はその明細が分かるもの
(④の方)生命保険控除証明書や国民年金保険料控除証明書、平成28年中に会社を通さずに支払った社会保険料の明細など
これらの方は、インターネットで国税庁のHPにアクセスし、確定申告作成コーナーを利用すると、簡単に確定申告書を作成することが出来ます。
⑤ 平成28年中に110万円以上の現金の贈与を受けた方(以前に相続時精算課税選択届出書を提出された方は、110万円以下でも贈与税申告書の提出が必要です)
⑥住宅取得資金の贈与を受けた方
現金のみの贈与であれば、贈与を受けた財産の価値が、金額そのままで確定しますので、難しい評価計算は不要です。
そのため、こちらも国税庁の確定申告書作成コーナーで作成することが出来ます。
住宅取得資金の贈与は贈与税の申告になります。住宅ローン控除の所得税申告書と同時に提出する方が多いので、税理士会の無料相談や税務署などで確認してもらってから提出するのがよいでしょう。税務署(または国税庁のHP)に申告のためのチェックリストがありますので、こちらもご活用下さい)
ここ数年、確定申告書作成コーナーがとても使いやすくなりました。給与や年金収入の方は、源泉徴収票がお手元にあれば、指示に従って入力していくと、必要な事項が記入された確定申告書を作成することが出来ます。
印刷した確定申告書は押印して、郵送するか、所轄の税務署に提出をしましょう。
平成28年分の確定申告から、申告書の提出には、マイナンバーと身分証明書の提示が求められるようになりました。(郵送の場合はコピーを同封)
ご注意下さい。
税理士に頼んだ方がいいと思われる申告
① 開業初年度の事業者の方
開業された方は、初年度は売上も多くない為「まだ税理士は必要ない」と考えられる方は多いです。ですが、税制上のメリットを受けるためには、開業年度中に届出が必要なものがあります。
また開業初年度は、多くの場合、設備投資など多額の支出があり、その年の経費になるものと数年かけて減価償却していくものに区別されます。
初年の決算書、申告書をしっかりと作っておくことで、翌年以降の申告がぐんと楽になります。
単発でも構わないので、最初こそ税理士を利用しておきましょう。
② 売上高が1000万円を超えた事業者の方
売上高が1000万円を超えると、その翌々年から消費税の課税事業者となり、消費税の納税が必要になります。
消費税は、赤字の場合でも20万円程度の納税が発生することが多いので、あらかじめ対策が必要です。
会計ソフトの利用の仕方から考える必要があります。
③ 土地建物の売却をされた方
土地建物の売却は所得税の「譲渡所得」といい、市町村の確定申告窓口では受け付けてもらえないことが多いです。
譲渡所得を計算するためには、売った時の資料だけでなく、買った時の資料も必要になり、この資料の如何で税額が大きく変わることがあります。
売買の形態により、適用になる税制も多岐に渡ります。
少ない譲渡金額でも多額の税額になることもありますので、前もって税理士に相談しておくとよいでしょう。
④ 不動産の贈与を受けられた方
現金の贈与と違い、不動産の贈与の場合は、その財産が幾らのものであるかの評価計算が必要になります。
よく、固定資産税の納付書に書いてある評価額で計算されている方がありますが、贈与税の評価には、そのまま用いる事は出来ません。
かなり複雑な計算や現地確認が必要になります。
株式の売買をされた方
株式の売買は、証券会社等に源泉徴収ありの特定口座を開いている場合には、申告不要となっています。
これは、売買による利益があった場合、すでに証券会社等で源泉徴収を行い、納税が完結しているからです。
ただし、複数の口座があり、それぞれで損失と利益が出ている場合や、引き切れていない所得控除がある場合には、申告していただくと、所得税が還付になる場合があります。
この場合も、国税庁の確定申告書作成コーナーで申告書を作成する事が出来ますが、特例もいくつかあり、慣れていない方だとややこしいかもしれません。
ご相談される場合は、各証券会社等から送られる特定口座年間取引報告書を全て揃えてご連絡下さい。
最後に
いろいろ書きましたが、基本的に書類を整理することや数字を扱うことに慣れている方と、まったくそうでない方がいらっしゃいます。
上記に当てはまる方でも、一度自分でやってみて、不安が残る、わからない部分があるなどでしたら、見積もりを兼ねて、税理士事務所にご相談されるとよいでしょう。